模倣

         四百十八

   

 自分よりも何かの点で優越した他人にあやかりたいと思う人びとの考えることは似ているので、住む場所も、家も、調度も、嗜好品も、身につける資格までもよく似ている。どれもこれも、ある種の人びとがある種の人びとにあやかりたいために整えるものだ。ところが彼らには模倣の意識はなく、それぞれがみな自分のしていることを特殊なもののように思っている。

進歩

         四百十七

 

 進歩と言われるものはすべて、質的な退歩を意味している。

都合

 

         四百十六

 

 自分の都合ばかり考えている人間は、学問があっても才知があっても財産があっても、あんまり貴いものではない。

                                         

                          ― 伊藤左千夫『姪子』