無題

         四百九
 
 神や仏を言葉にする者は、なるほど、瀆神の行為をひけらかしたり、不敬の言辞を吐き散らしたりすることによって自分の立場を宣明する型の無神論者ではないが、『神や仏』を自分の成功や愚行を許容あるいは静観している他者、つきつめれば自分自身を指すほどのものとしか捉えておらず、熱烈な崇敬をこめて鑽仰される人格神と考えることは決してない。
 彼らは宗教の超自然的含蓄には興味を示さず、殉教の熱情など思案の外である。たしかに勤行や礼拝には、かなり規則正しく出席するが、それはもっぱら世間体のためであり、せいぜい説教に現世利益の演説会を期待する程度の興味があるからである。

 

 

まったき自由

               四百八

 

 行為がまったき自由なものであるためには、それがどんな障害にも遇わないことが必要である。その状況を想像するためには、私たちはその人間を社会空間の外に想像しなければならず、これは明らかに不可能である。

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無題

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          四百七

 知識が通俗化されている自信過剰な時代には、書物の出版というきわめて強力な浅学の手段のおかげで、人間の倫理的意志と行動についての問題が、問題そのものがもともと存在し得ないような地盤に移されてしまっている。いわゆる進歩的な人びとの大多数が、つまり無学者たちの群れが、問題の一面しか扱わない自然科学者たちの仕事を問題全体のすぐれた解決手段と思いこんでいるのである。