無題

          四百十四

 

 私がもっとも激しく怒りの情動を発するもの ― 権力のもとに横行しているあらゆる非人間的行為 ― このことに私はあまりにも寡黙すぎた。決して寛容に看過していたわけではないが、しかしそれのすべてを描くことはできないという怠惰な諦観があった。諦観は捨てよう。私の後半生は、その一部でも剔抉し、芸術の神の掌に預けることに捧げられなければならない。

                         ―山本周五郎『五瓣の椿』

四十七歳。

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         四百十三

 

四十七歳。十月。夜七時。個として滅ぶことの恐怖が突然失せる。

 

無題

         

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          四百十二

 

そぞろ夢み―この猫の顔を記憶に留めることのみを仕事とし、人として何もせずに死んでいけたら!