四百三十

 

 十五歳 ― あの女の涙。彼女は何か重要なことをしゃべりながら思わずポロリと涙をこぼした。でもそれは、あたかも彼女の思想を象徴するような性質のものであって、つまり私には迷惑きわまる涙だった。そのひとしずくの涙こそ、そのとき私を彼女のものにしたすべての力で、また、いまもなお私をしっかりと呪縛している罠であった。

 

川田拓矢 21歳