法廷では

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         四百二

 

 法廷では、厳格で正確な語調で、

「姓名は?」

「どこにいたか?」

「目的は?」

 等々の尋問が行われる。これらの尋問は、法廷で行われるすべての尋問がそうであるように、肝心な問題の本質を脇に置き、その本質を解明する可能性を除外して、裁判官がそれを伝って被告の返答を流れ出させ、望みどおりの目的、つまり有罪の結論にそそぎこませたいと思うその樋(とい)  を敷くことだけを目的としている。被告がこの告発の目的に沿わないようなことを何か言い出すと、とたんに樋があてがわれるので、水は都合のよい方へ流れる仕組みである。

 

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