理知派・理論派

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         三百八十四

 

 どんな分野にも、理知派・理論派を標榜する人びとがいる。それは科学という抽象理念の上に立って、つまり真理の客観的認識の基礎の上に立って絶大の自信を持ち、もう治療の見込みのないほど、狂信的なまでに自信過剰に凝り固まっている人びとである。

彼らの自信は始末が悪く、頑強で、鼻持ちならない。というのは彼らは、自分はいかなる時代の人間をも組み敷く真理を知っている、それは理論の先端をいく科学であって、これこそ自分にとって絶対の真理である、と思いこんでいるからだ。客観的理論という亡霊を愛するあまり、現実世界への適用という、実地を目指す理論そのものの目的を忘れているような、そういう笑止な理論家だからだ。