続・あれあ寂たえ 239章〜 ― 当サイトには、著作権が含まれています。無断で複製、改変及び転記等に利用することは固く禁止いたします。―
2018.05.18 Friday
四百三十
十五歳 ― あの女の涙。彼女は何か重要なことをしゃべりながら思わずポロリと涙をこぼした。でもそれは、あたかも彼女の思想を象徴するような性質のものであって、つまり私には迷惑きわまる涙だった。そのひとしずくの涙こそ、そのとき私を彼女のものにしたすべての力で、また、いまもなお私をしっかりと呪縛している罠であった。
川田拓矢 21歳