電話

JUGEMテーマ:読書
 

         三百六十

 

 電話はけっして便利なものではなく、もしそれがなかったら心地よく過ごせるだろう平和な日々を不安にさせ、人を神経衰弱にさせる罠である。いったい世間の人たちは、何をそれほど次々に、だれと話したいのだろう。

見得を切る

JUGEMテーマ:読書
 

          三百五十九

 

 だれにも自慢の種はある。しかし、子供らしい自慢から出たおしゃべりは、人生を通じて恐ろしい不幸の原因となる。この大切な人生で、常にあらゆる行為をそこなう最も忌まわしい習慣は、ほかでもない、前後の考えもなく見得を切ることだ。

例外

JUGEMテーマ:読書
 

        三百五十八

 

 普通よその先進国の文化や文明を受け入れるには、その国の属国になったり植民地になったりして受け入れるものだが、日本はちがった。日本だけが世界史の唯一の例外であった。つまり、古来、自発的に受け入れてきたのである。自発的に受け入れたばかりでなく、文明も文化も金を出して積極的に買い付けたのである。そこにこそ、外国人が日本に足を踏み入れたとき、根源的な身の安全と精神的な安堵を見出す仕組みがある。この国は世界でただ一つ、排斥に価値を認めない、民族特有の危険も匂わせない国なのである。

人生

 

         三百五十七

 

 これが人生だ。人生だけが大切なのだ。

自分の場所

JUGEMテーマ:読書
 

         三百五十六

 

 記憶の許すかぎり、一点一画も漏らさぬように書くこと。その一点一画が、大団円にそれぞれ自分の場所を見出すことになるから。

JUGEMテーマ:読書

      三百五十五

 

 およその女の魂は、がさつにできている。

生命体

JUGEMテーマ:読書
 

      三百五十四


 私のやっていることといえば、戦ってはならない相手と戦ったり、常に苦しみの種になる快楽を探し求めたり、引き延ばすことのできない命を引き延ばそうとしているだけなのだ。私という存在、つまりそのためにだけ幸福と生命を望んでいる個我は、満足のいく幸福も生命も持つことができないでいる。私という意識はやがて尽きてしまい、融け、骨となり、風化されて私ではなくなる。
 しかし、私にとって必要でも重要でもなく、愛しもしなかった自分の命ではないもの、すなわち、戦い合い、交代しつづけていく他の存在たちの蝟集するこの世界こそが、実は連綿と継承される真の生命体なのであり、私を歴史上の一つの要素にして残りつづけ、永久に生きつづけていくものなのだ。私の分身である愛する者たちはその永遠の範疇にいない。彼らは永遠を生きず、私と等価の不幸と一瞬の命を背負い、私とともに滅ぶ。

JUGEMテーマ:読書
 

 三百五十三

 

 深夜、個として滅ぶことの恐怖が突然失せ、そぞろ涙流れる。

日欧文化比較

JUGEMテーマ:読書
 

       三百五十二 

 

   われわれのあいだでは、人に面と向かって嘘つきだということは最大の侮辱である。日本人はそれを笑い、愛嬌としている。

   われわれのあいだでは、偽りの笑いは不真面目だと考えられている。日本では品格のある高尚なことだとされている。

   われわれのあいだでは、礼節は落ち着いた厳粛な顔で行なわれる。日本人はいつもまちがいなく偽りの微笑で行なう。

   ヨーロッパでは言葉の明瞭であることを求め、あいまいな言葉を避ける。日本では曖昧な言葉がいちばん優れた言葉で、最も重んぜられている。

    ルイス・フロイス『日欧文化比較』

無題

JUGEMテーマ:読書
 

        三百五十一

 

 この猫の顔を心に留めるだけで、人として何も為さずに死んでいけたら!

1